大型トラック寸法と種類!効率を最大化する選び方

「大型トラックの寸法や積載量について詳しく知りたい」「自社の荷物に合ったサイズ選びで迷っている」このようなお悩みはありませんか?
大型トラックは、全長や荷台寸法、積載量が多岐にわたり、選び方次第で業務効率やコストが大きく変わります。この記事では、法律で定められた寸法の制限、主要メーカーごとのサイズ比較、荷台の寸法と積載効率の考え方を詳しく解説します。
また、各タイプの特徴や中型・小型との違い、導入にかかるコストや運用のポイントまで紹介しています。
最適なトラック選びの参考に、ぜひ最後までご覧ください。
1 大型トラックの寸法とは
大型トラックを導入する際、寸法や積載量の把握は欠かせません。
なぜなら、荷物に合ったサイズを選ぶことで、運送効率や安全性が大きく変わるからです。
ここでは、法律上の制限やメーカーごとの寸法比較、荷台サイズと積載量の関係について紹介します。
1-1 法律で定められた大型トラックの寸法制限
大型トラックの寸法は道路運送車両法で厳しく規制されています。長さは12m以内、幅は2.5m以内、高さは3.8m以内が上限です。
これらの制限は交通安全と道路施設の保護を目的として設定されています。例えば、高さ制限を超えると橋梁やトンネルへの衝突リスクが生じ、幅の超過では車線逸脱の危険性が高まります。
荷物の積載時には「はみ出しルール」が適用され、2022年5月13日の改正により一部緩和されました。積載できる荷物の長さはトラックの全長の1.2倍まで、幅は幅の1.2倍までとなります。ただし、車両の前後からはみ出す部分は全長の0.1倍まで、左右からはみ出す部分は幅の0.1倍までです。高さは原則地上3.8mまで(高さ指定道路では4.1mまで可能)と定められています。
1-2 メーカー別の大型トラック寸法比較
主要メーカーの10t(トン)トラックは、積載効率や運ぶ荷物の種類に応じて寸法が異なります。代表的なモデルを見てみましょう。
- 日野・プロフィア:車両寸法 長さ11.9m × 高さ3.79m × 幅2.4m。荷台長さ9.67m × 幅2.49m × 高さ0.26m。大量の荷物や長尺物の積載に適したバランスのよいサイズです。
- UDトラックス・クオン:車両寸法 長さ11.9m × 高さ3.03m × 幅2.33m。荷台長さ9.5m × 幅2.49m × 高さ0.45m。幅が広く、パレットや多量の荷物を効率的に積載できます。
- いすゞ・ギガ:車両寸法 長さ7.86m × 高さ3.46m × 幅2.19m。荷台長さ5.1m × 幅2.49m × 高さ0.5m。特殊仕様車も多く、短尺・重量物の運搬に適したモデルもあります。
1-3 荷台寸法と積載効率
大型トラックの荷台寸法は、積載効率を大きく左右します。運搬する荷物のサイズや量に合わせて最適な荷台を選ぶことで、輸送効率を最大限に高められるからです。
平ボディタイプの大型トラックでは、荷台の全長が約9.5m、幅が約2.3m程度が一般的です。しかし、荷台の種類によって寸法や形状は異なり、積載できる荷物の量も変わってきます。
荷物をムダなく積載するためには、パレットやコンテナの寸法に合わせて荷台のレイアウトを工夫することが大切です。また、荷台のサイズだけでなく、積載できる最大重量や床面の高さも効率に影響します。例えば、床が高すぎると、フォークリフトでの積み下ろしが難しくなる場合があるため注意が必要です。
2 大型トラックの種類
大型トラックは、運ぶ荷物の量や種類に応じて多様なタイプが存在します。各トラックは異なる寸法や構造を持ち、特定の用途で効率的な輸送ができるよう設計されています。
ここでは、主要な大型トラックの種類と、それぞれの特徴、適した積載物について紹介します。
2‐1 平ボディタイプの大型トラック
平ボディタイプの大型トラックは、もっともシンプルで汎用性の高いトラックです。
荷台に屋根や囲いがなく、開放的な構造をしているのが特徴です。この構造により、さまざまなサイズや形状の荷物を積載することができるため、幅広い用途で利用されています。
例えば、建設現場で使う資材や、重機、あるいは長尺物など、通常の箱型トラックでは運べないような荷物の運搬に最適です。
荷台の寸法は、全長が約9m、幅が約2.4mが一般的ですが、積載する荷物の量やサイズに合わせて、荷台の長さやあおりの高さが異なるタイプも選べます。
荷台にシートを掛けることで雨風から荷物を守ったり、ロープや固縛器具を使ってしっかりと荷物を固定したりと、工夫次第で多様な荷物の運搬に対応できます。
2-2 ウイングボディタイプの大型トラック
ウイングボディタイプの大型トラックは、荷物の積み降ろしを効率化できる特徴があります。
荷台の側面が大きく開閉する構造により、全長のほぼすべてのスペースを活用して積載作業を行えます。
一般的な大型トラックの場合、荷台の長さは約9.6m、幅は約2.4m、高さは約2.6m程度です。積載量は車両の仕様によって異なりますが、約13t前後が一般的です。ウイングを開いた状態でフォークリフトを横付けできるため、荷物の出し入れがスムーズに進みます。加えて、雨風から積載物を守れる構造もメリットです。
このようにウイングボディは、多様な荷物の運搬を効率化し、積載効率の向上にも貢献するため幅広い業種で利用されています。
2-3 ダンプトラック
ダンプトラックは、土砂や砕石などの大量の荷物を効率的に運搬できるトラックの一種です。最大の特徴は、荷台を油圧で傾けて積載物を一度に下ろせる点にあります。
一般的な荷台の寸法は長さ約5.3m、幅2.3m、高さ0.5m程度です。
積載量は8tから10t前後が一般的で、車両によって異なりますが、法令で最大積載量や寸法が定められています。
ダンプトラックは、積載できる荷物の量やサイズに応じて車種が選ばれるため、建設現場や土木工事など多様な場面で活躍しています。荷物の積み下ろし作業が迅速にできることから、効率的な運搬を求める現場で重宝されているトラックです。
2-4 クレーン付き大型トラック
クレーン付き大型トラックは、荷台にクレーン装置が備わっており、荷物の積み下ろし作業を一台で完結できる点が大きな特徴です。重い資材や機械、建設現場の荷物など、人の手では運べないような大型の荷物を効率よく扱うことが可能になります。
このタイプのトラックは、ユニック車やセルフクレーンなどとも呼ばれ、クレーンの性能や積載量によってさまざまなサイズがあります。一般的な大型クレーン付きトラックの荷台寸法は、長さ8.7m、幅2.4m、高さ0.5m程度です。
クレーンのつり上げ能力やアウトリガーの張り出し寸法も、作業を行う上で重要です。運搬する荷物の量や重さ、設置場所のスペースを考慮し、最適な寸法と能力を持つトラックを選びましょう。
2-5 冷凍・冷蔵タイプ
冷凍・冷蔵タイプのトラックは、荷台に冷凍・冷蔵装置を搭載しており、生鮮食品や医薬品など、厳密な温度管理が必要な荷物の輸送に特化しています。鮮度や品質を保ったまま長距離輸送ができる点が最大の強みです。
荷台は断熱材で覆われた箱型の構造をしており、外部の温度変化から荷物を守ります。大型の冷凍・冷蔵トラックの荷台寸法は、運搬する荷物の量やサイズによってさまざまです。
一般的な荷台は、長さ2.4m、幅2.3m、高さ2.4m程度が主流です。庫内の温度設定は細かく調整できるため、冷凍品から冷蔵品まで幅広い荷物に対応が可能になります。
ただし、冷凍機の稼働には燃料が必要であり、一般的な大型トラックと比べて運用コストが増える点には注意が必要です。
2-6 トレーラータイプと連結車
トレーラータイプと連結車は、輸送効率を高めるために多様な構造が採用されています。もっとも一般的なセミトレーラーは、牽引車(トラクターヘッド)と被牽引車(トレーラー)で構成され、単体では自走できません。
フルトレーラーは前後に車軸を持ち、単体で自立できるため、さらに多くの荷物を積載できます。
ダブル連結トラック(トレーラー連結車)は、1台の牽引車に複数のトレーラーを連結することで、大量輸送ができます。
ポールトレーラーは鋼材や木材など長尺物の運搬に特化し、低床トレーラーは建設機械や大型設備の運搬に適した床面の低い設計です。
用途に応じた種類を選ぶことで、大型トラックでは運べない荷物も効率よく配送できるのが強みです。
3 大型トラックと中型・小型の違い
トラックを選ぶ際、大型、中型、小型それぞれの違いを理解することが重要です。
運ぶ荷物の量やサイズ、必要な運転免許、運用コストが大きく異なるからです。
ここでは、各トラックの寸法や積載量、そして運転に必要な免許の違いを紹介します。
3-1 車両寸法による比較
トラックには小型・中型・大型の区分があり、それぞれ寸法や積載量に明確な基準があります。
小型トラックは長さ4.7m以下、幅1.7m以下、高さ2.0m以下で取り回しがしやすく、宅配など少量の荷物輸送に適しています。
中型トラックは長さ12m以下、幅2.5m以下、高3.8m以下、車両総重量5t以上11t未満、最大積載量6.5t以内が目安です。
一方、大型トラックは同じ寸法内でも車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上が判断基準となります。
特に中型と大型は寸法だけでは区別できず、重量で分類する必要があります。運べる荷物の量やサイズを比較し、用途に応じて最適なトラックを選びましょう。
3-2 最大積載量と車両総重量の差異
トラック選びでは、最大積載量と車両総重量の違いを理解することが欠かせません。
最大積載量は積める荷物の重さの上限(荷物のみの重量)、車両総重量は車両自体の重さ+乗員全員の体重+最大積載量の合計値です。
大型・中型・小型トラックの最大積載量と車両総重量について、以下に示します。
トラック区分 |
車両総重量 |
最大積載量 |
大型トラック |
11t以上 |
6.5t以上 |
中型トラック |
5~11t未満 |
4~6.5t |
小型トラック |
5t未満 |
2t以下 |
例えば大型トラックの場合、車両総重量が20tで車両重量9t、乗員2名(110kg)なら、最大積載量は10.89t(20t - 9t - 0.11t)となります。
運搬できる量を正確に把握しないと、積載オーバーで罰則を受けるリスクがあります。購入や運用前に仕様を確認し、適正な積載計画を立てることが重要です。
3-3 運転に必要な免許の違い
トラックのサイズが異なると、運転に必要な免許の種類も変わってきます。これは、各トラックの車両総重量や最大積載量、そして乗車定員によって定められています。
例えば、もっとも大きな大型トラック(車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上、乗車定員数30人以上)を運転するには、「大型免許」が必要です。
一方、中型トラック(車両総重量7.5t以上11t未満、最大積載量4.5以上6.5t未満、乗車定員11人以上29人以下)を運転するには、「中型免許」または上位の大型免許が必要となります。
小型トラック(車両総重量5t未満、最大積載量3t未満、乗車定員10人以下)であれば、「普通免許」で運転できるケースもあります。ただし、平成29年6月2日以降に取得した普通免許では、車両総重量3.5t未満のトラックに限られることに注意が必要です。
3-4 ビジネス規模に応じた最適なトラック選び
ビジネスの規模や運搬する荷物の種類によって、最適なトラックのサイズは異なります。適切なトラックを選ぶことは、輸送コストの削減や効率的な物流を実現するために必要不可欠です。
例えば、小量の荷物を頻繁に運ぶ個人事業主や小規模な配送業者であれば、小回りが利き、維持費も抑えられる小型トラックが適しています。
一方、中規模の物流や引っ越し業者のように、ある程度の量の荷物を運ぶ場合は、積載量と運転のしやすさのバランスが取れた中型トラックが向いています。
そして、大量の荷物を長距離輸送する大手運送会社や、建設資材などを運ぶ場合は、最大積載量が多く、荷台寸法が長い大型トラックが最適です。
運搬する荷物の量、サイズ、配送頻度、そして予算などを総合的に考慮し、自社のビジネスに合ったトラックを選びましょう。
4 大型トラックの導入コストと運用
大型トラックの導入には、車両の購入費用や維持費、運用コストなど多くの要素を総合的に考える必要があります。適切なサイズや積載量を選ぶことで、荷物の運搬効率やコストパフォーマンスを最大化できます。
4-1 初期投資と減価償却
大型トラックの導入には多額の初期投資が必要ですが、減価償却を活用することでコストを分散できます。新車の8tトラック購入には約700万円以上の資金が必要です。中古車なら100万円台から購入可能で、初期費用を抑えられます。
減価償却では「定額法」(個人事業主向け)と「定率法」(法人向け)の2つの方法があり、大型トラックの法定耐用年数は5年です。例えば1,500万円の新車トラックの場合、年間300万円(1,500万円÷5年)を経費計上できます。
中小企業や個人事業主には特例があり、30万円未満の中古トラック購入なら全額を初年度に経費計上可能です。また減価償却資産が20万円以下の場合は3年間の均等償却も選択できます。
4-2 維持費と燃料コスト
大型トラックの運用には、継続的に発生する維持費と燃料コストの適切な管理が不可欠です。維持費には車検費用、自動車税、各種保険料が含まれ、特に大型トラックはサイズが大きいため、費用も高くなる傾向があります。定期的な点検やメンテナンスは、故障を防ぎ、トラックの寿命を延ばすために欠かせません。
燃料コストは、走行距離と燃費に大きく左右されます。積載する荷物の量が多い大型トラックは燃費が悪くなりがちです。そのため、燃費のよい運転を心がけたり、燃料効率に優れたトラックを選んだりすることで、コストを抑えることが可能になります。
これらの費用を総合的に考慮し、荷物の量や輸送距離に見合った最適なトラック運用計画を立てることで、事業の収益性を高められます。
4-3 人件費と運転手確保のポイント
大型トラックを安定的に運用するためには、人件費の管理と運転手の確保が重要です。
人件費は基本給だけでなく、時間外手当や社会保険、健康診断などの福利厚生が含まれます。
特に、荷物を多く積載できる大型トラックは稼働時間が長くなる傾向があり、結果として給与や手当の負担が大きくなります。
また、運送業界ではドライバーの高齢化が進み、若手人材の確保が課題です。この問題への対応策として、給与水準の見直しや柔軟な勤務シフトの導入が有効です。加えて、充実した研修制度を用意することで、未経験者でも安心して働ける環境を整えられます。
トラックのサイズや全長が大きい車両は運転技術の習得が必要ですが、スキルアップ支援を行えば長期定着につながります。こうした取り組みは、運送品質を維持しながら安定した人材確保を実現する上で欠かせません。
4-4 経営戦略としてのトラック導入判断
大型トラックの導入は単なる設備投資ではなく、事業成長戦略として位置づけることが大切です。
自社物流を選ぶことで、荷物の量やサイズ、納期の急な変更にも柔軟に対応できるほか、輸送品質の維持やブランド価値の向上が可能です。特に精密機器や高額商品など管理が厳格に求められる輸送では、自社便に強みがあります。
一方、外注(物流アウトソーシング)は初期投資や人件費を抑えられ、受注量の増減や繁忙期にも対応しやすいため、リスク分散や事業継続計画(BCP)の観点から有効です。
さらに、トラックを保有することで、自社配送の効率化やEC直販など新たな収益モデルを構築できる可能性もあります。積載効率やルートを最適化することでコスト削減を図ることもでき、輸送の柔軟性と安定性が高まります。
こうした選択肢のメリットとリスクを正しく見極め、自社の経営資源や物流ノウハウ、将来の事業計画に沿って最適な導入方法を選びましょう。
5 まとめ
大型トラックの寸法は、法律で長さ12m、幅2.5m、高3.8m以内と定められており、主要メーカーの車種ごとに荷台寸法や積載量に違いがあります。最近の法改正で荷物のはみ出しルールが緩和され、車体の長さや幅の1.2倍まで積載可能となり、運送効率が向上しました。
大型トラックは用途に応じて平ボディやウイング、ダンプ、クレーン付きなど多様なタイプがあり、荷物の量やサイズに合わせて選ぶことが重要です。また、中型・小型トラックとの違いや運転免許の区分も理解して、最適な車両選びを行いましょう。
これらを踏まえ、法令遵守と安全運転を心がけることが、効率的で安心な物流運用につながります。