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【運送業向け】大型トラックのサイズ比較と選び方

大型トラックのサイズは、業務効率や運送コストを大きく左右する要因となります。しかし「全長や全幅は?」「どのサイズを選ぶべき?」と悩む方も多いのではないでしょうか。

この記事では、大型トラックの車両総重量・最大積載量の違いや、標準的な寸法、免許の種類別の比較、燃費や維持費、中小企業が選ぶべきサイズのポイントまで解説します。用途に合った最適なトラックを選ぶための参考として、ぜひ最後までご覧ください。

大型トラックのサイズ

大型トラックのサイズは、車両総重量や最大積載量によって区分されており、運送業務の効率化や法令遵守において重要です。特に、寸法や積載量、法律での規制について知識を深めることで、自社のニーズに最適な大型トラックを選べるようになります。ここでは、大型トラックのサイズについての基本情報を紹介します。

車両総重量による区分

日本の道路運送車両法では、トラックは車両総重量によって明確に区分されています。車両総重量とは、車両自体の重さ(車両重量)と最大乗車定員、最大積載量を合わせた総重量のことです。

トラックの車両総重量による区分は以下のとおりです。

  • 大型トラック:車両総重量11トン以上
  • 中型トラック:車両総重量5トン以上11トン未満
  • 小型トラック:車両総重量5トン未満

特に大型トラックの場合、法律で車両総重量の上限は一般的に20トン〜25トンと定められています。ただし、セミトレーラなどの特殊な車両は例外規定があり、最大で車両総重量36トンまで認められる場合もあります。

最大積載量による区分

トラックは最大積載量によっても区分され、一般的に呼称されるトン数(「10トントラック」など)はこの最大積載量を指しています。最大積載量とは、そのトラックに積載できる貨物の最大重量のことです。

最大積載量による一般的な区分は以下のとおりです。

  • 大型トラック:最大積載量6.5トン以上
  • 中型トラック:最大積載量3〜6.5トン程度
  • 小型トラック:最大積載量3トン未満

実務においては、この最大積載量がトラック選びの重要な指標になります。運ぶ予定の荷物の重量や容積を考慮して、適切な最大積載量を持つトラックを選定することが、効率的な運送業務には欠かせません。

大型トラックの標準的な寸法とサイズ

大型トラックの寸法は、道路運送車両法によって詳細に規定されています。具体的には全長・全幅・全高の三つの寸法と荷台サイズが重要な指標となります。ここでは、一般的な大型トラックの寸法と、荷台のサイズや積載可能容量について詳しく解説していきます。

 一般的な大型トラックの全長・全幅・全高

大型トラックのサイズは、法律で厳格に定められており、運送業や物流業界で車両を選定する際の重要な基準となります。なぜなら、全長・全幅・全高の規格を守ることで、安全な運行や道路インフラへの配慮が可能となるからです。

一般的な大型トラックの最大サイズは、全長12m、全幅2.5m、全高3.8mまでと道路運送車両法で定められています。この基準を超える車両は特別な許可が必要となるため、ほとんどの大型トラックはこの範囲内で設計されています。また、代表的な10トントラックの場合、平ボディや箱型ボディの実寸は全長11,950mm、全幅2,490mm、全高3,790mm前後が一般的です。

さらに、特殊な用途や積載量が多いトレーラータイプでは、全長16,500mmまで認められている場合もあります。主要メーカーの日野やいすゞ、三菱ふそう、UDトラックスの大型車両も、これらの基準に沿ったサイズで展開されており、荷台寸法や積載容量にも違いがあります。

荷台サイズと積載可能容量

大型トラックの荷台サイズと積載可能容量は、輸送効率や運搬できる荷物の種類を決めるうえで重要です。なぜなら、荷台寸法や積載量は法律で厳格に定められており、違反すると安全性の低下や罰則の対象となるためです。

一般的な大型トラックの荷台寸法は、長さ9,500mm前後、幅2,390mm前後、高さ2,590mm前後が目安となっています。このサイズであれば、最大積載量は約13,000kg前後となり、大型の建設資材や重量物、パレット貨物など多様な荷物の輸送に対応できます。また、荷台の形状によっても積載可能容量は異なり、平ボディ車はウイング車やバン車よりも多くの荷物を積むことが可能です。

積載可能容量を計算する際は、「最大積載量=車両総重量-車両重量-乗員重量(定員×55kg)」という公式が用いられます。さらに、荷台から荷物がはみ出す場合にも規制があり、長さは車体の1.1倍、幅は車体幅+1m(全体で3.5m以内)までとされています。高さは原則3.8mまでですが、2004年の法改正以降、高さ指定道路において4.1mまでに緩和されました。

トラックサイズ別の特徴と必要な免許、用途比較

トラックは大型、中型、小型とサイズによって運転に必要な免許や向いている用途が異なります。適切なトラックを選ぶためには、各サイズの特徴、必要免許、そして業務内容との適合性を理解することが重要です。

ここでは、それぞれのトラックサイズの特徴、運転に必要な免許、そしてどのような用途に適しているのかを比較しながら解説します。

大型トラック

大型トラックは車両総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上の大規模な運送車両です。運転には大型自動車免許が必須となります。この免許は取得難易度が高く、取得費用も約30万円程度かかるため、運転手の確保が課題となることもあります。

大型トラックの主な用途は以下のとおりです。

  • 長距離の幹線輸送
  • 大量の建築資材や工業製品の輸送
  • コンテナ輸送 ・大型冷凍・冷蔵品の輸送
  • 引越し業務(大規模な引越し)

10トン車、15トン車、20トン車など、積載量によって様々なサイズがあり、それぞれ適した用途が異なります。10トン車は汎用性が高く都市間輸送に適しており、15トン以上になると主に高速道路を使った長距離輸送に使用されます。

大型トラックの特徴として、積載量が多い分、輸送効率が良く一度に大量の荷物を運べるメリットも。一方で、市街地での運転や狭い道路での取り回しには制限があり、初期投資や維持費も高額になります。

大型トラックの購入を検討する際には、主な輸送ルートや荷物の量、運転手の確保可能性などを総合的に考慮する必要があります。また、大型トラックは道路交通法による規制も厳しく、最高速度や通行可能道路に制限があることも理解しておきましょう。

中型トラック     

中型トラックは、大型トラックと小型トラックの中間に位置づけられます。

中型トラックの主な特徴は以下のとおりです。

  • 車両総重量:5トン以上11トン未満
  • 最大積載量:約3トン以上6.5トン未満

これらのトラックを運転するには「中型免許」が必要となります。中型免許は満20歳以上で取得でき、準中型免許よりも大きなトラックを運転できます。主に中距離配送や都市間輸送に活用されており、都市部の配送にも利用しやすいサイズ感が特徴です。

大型トラックほどの積載量はありませんが、小型トラックより多くの荷物を運べるため、中規模の輸送に適しています。維持費や燃費面でも大型トラックよりは経済的であるため、中小企業での導入も多く見られます。

小型トラック

小型トラックは、トラックの中でも最もコンパクトなサイズの車両です。

小型トラックの主な特徴は以下のとおりです。

  • 車両総重量:5トン未満
  • 最大積載量:3トン未満

これらのトラックを運転するには「普通免許」または「準中型免許」が必要です。普通免許では車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満のものを運転でき、準中型免許では車両総重量7.5トン未満、最大積載量4.5トン未満のものまで運転できます。

小型トラックは機動性に優れており、狭い道路でも運転しやすいため、市街地での配送や小規模な輸送に適した車両です。燃費も比較的良く、維持費も抑えられるため、個人事業主や小規模事業者に人気があります。

大型トラックの燃費と維持コスト

大型トラックはサイズが大きい分、燃費や維持コストも高額になりやすいです。なぜなら、燃料費に加え、税金や保険、車検、消耗品など多くの費用がかかるためです。ここでは、大型トラックの燃費と維持コストの概要を解説します。

大型トラックの平均燃費と燃料コスト計算

大型トラックの燃費は運用コストを大きく左右します。

大型トラックの平均燃費は10tクラスで約3〜4km/Lです。

燃費の計算には「満タン法」が一般的で、走行距離を給油量で割ることで1リットルあたりの走行距離を算出します。

燃料コストは「走行距離÷燃費×燃料単価」で計算します。仮に燃費4km/L、軽油単価が1Lあたり150円、1,000km走行する場合、1,000÷4×150=37,500円が燃料費となります。

燃費は運転方法や積載量、道路状況によっても変動するため、日々の運行管理やメンテナンスを徹底することで、コスト削減が可能です。

車検・保険・税金等の年間維持費

大型トラックの年間維持費は、車検費用、自動車保険料、そして自動車税などが主な内訳となります。

特に大型トラックは、車両総重量や最大積載量が大きいため、これらの費用も小型・中型トラックと比較して高額になる傾向があります。

具体的には、車検費用は、車両の種類や年式、整備の内容によって大きく異なりますが、数万円から数十万円程度かかる場合も。自動車保険料も、加入する保険の種類や補償内容、運転者の年齢などによって変動します。

自動車税は、車両の総排気量や最大積載量に応じて課税され、これも大型トラックの場合は高額になることがあります。

これらに加え、定期点検費用(3か月ごと)や消耗品交換費用も考慮しなければなりません。特に大型トラックはタイヤ本数が多く(10〜14本)、タイヤ交換だけでも数十万円の費用がかかります。

中小企業におけるトラック選びのポイント

中小企業がトラックを選ぶ際は、業務内容や運搬する荷物の性質、必要な積載量に応じて最適なサイズを選ぶことが重要です。なぜなら、ムダのない車両選定がコスト削減や業務効率化につながるためです。ここでは、トラック選びの具体的なポイントを解説します。

業務内容との適合性

トラック選びで最も重視すべきは、自社の業務内容との適合性です。

まず考慮すべきは、配送する荷物の特性です。大型トラックが必要かどうかは、取り扱う荷物のサイズや重量によって決まります。例えば、大型の機械部品や建材を扱う場合は10t以上の大型トラックが向いていますが、小口配送が中心なら中型や小型トラックの方が効率的です。

次に配送距離と頻度も、重要な判断材料となります。長距離輸送が主な業務であれば、荷台容量の大きな大型ウイング車が効率的です。一方、都市部での短距離配送が中心なら、機動性に優れた中型トラックの方が適しているでしょう。大型トラック(全長12m前後)では進入できない道路も多いため、配送ルートの特性も考慮する必要があります。

また、積み下ろし環境も重要です。取引先の荷捌き場や自社倉庫のスペースに大型トラックが入れるか確認が必要です。特に古い市街地や住宅街への配送では、道幅の狭さや高さ制限(ガード下など)により大型トラックでの配送が困難なケースがあります。

運転手の確保と資格

トラックを選定する際には、運転手の確保と必要な免許の問題も重要な検討事項です。

近年、大型免許保有者の確保は非常に難しくなっています。大型免許(第一種大型自動車免許)は取得に時間とコストがかかるため、有資格者が減少傾向にあります。

大型トラックの導入を検討する場合、既存の従業員に免許取得を促すか、有資格者を新たに雇用する必要があります。いずれにしても人材確保のコストと時間を考慮しなければなりません。

また、大型トラックの運転は運転手への身体的・精神的負担が大きい点も考慮すべきです。車両の大きさから運転操作が難しく、長時間の運転による疲労も蓄積しやすいため、労働環境の整備や適切な休憩時間の確保が必要になります。

これらの課題を考慮すると、中型免許で運転可能な車両を選ぶという選択肢も有効です。中型免許があれば、車両総重量11トン未満、最大積載量6.5トン未満のトラックを運転できます。このクラスのトラックでも十分な積載能力があり、人材確保のハードルも低くなります。

初期投資と長期運用コストのバランス

大型トラックの導入においては、初期投資だけでなく長期的な運用コストを総合的に考慮することが欠かせません。

初期投資としては、新車の場合は1,000万円以上、中古車でも数百万円のコストがかかります。車両サイズ・排気量・装備によって価格は大きく異なりますので、業務に必要十分なスペックを見極めることが大切です。

長期運用コストとしては、以下のような費用が継続的に発生します。

  • 燃料費:大型トラックは燃費が悪く、年間数百万円の燃料費がかかることも
  • 定期メンテナンス費:エンジンオイルや各種フィルター交換など
  • 車検費用:2年ごとの車検で50〜100万円程度
  • 自動車税・重量税:車両の重量に応じて毎年課税
  • 自動車保険料:対人・対物・車両保険など
  • タイヤ交換費用:大型トラックは10本以上のタイヤを使用
  • 修理費用:故障した場合の修理は一般車両より高額

新車は初期投資は高くなりますが、当初の故障リスクや修理コストは低く、最新の燃費性能や安全装置を享受できます。一方、中古車は初期投資を抑えられますが、メンテナンスコストが高くなる可能性があります。

新車の大型トラック購入のために検討すること

大型トラックの新車購入を検討する際には、様々な財務面での工夫が必要です。最近では車両価格の高騰が続いており、初期投資を抑えるための選択肢を検討することが重要になっています。例えば、すでに所持している車両のリースバックも有効な選択肢の一つです。

資金調達と維持費削減の車両リースバック

新車の大型トラック購入における資金調達の選択肢の一つとして、また維持費削減の手段として、車両リースバックという方法が考えられます。

車両リースバックは、現在所有しているトラックをリース会社に売却し、その後、そのトラックを自社でリース契約して使用し続ける仕組みです。これにより、まとまった資金を調達できると同時に、車両の維持管理等にかかる負担を軽減できる可能性があります。

具体的には、リースバックを利用することで、売却によって得た資金を新たな事業資金に充てられます。特に、複数のトラックを所有している中小企業の場合、リースバックを活用することで、リース料削減等のコスト削減につながる可能性があります。

ただし、注意点としてリースバック契約を結ぶ際には、契約期間やリース料、契約終了時の車両の取り扱いなど、細かな条件を確認することが重要です。また、長期的に見ると、購入するよりも総支払額が高くなる場合もあるため、慎重な検討が必要です。

税務上のメリット

大型トラックをリースバックすることで得られる最大の税務上のメリットは、資産をオフバランス化できる点です。リースバックとは、トラックを一度売却し、その後リース契約を結んで引き続き使用する仕組みです。

この方法を活用すると、トラックは自社の資産として貸借対照表に計上されなくなり、総資産額が減少します。その結果、自己資本比率が向上し、財務指標の改善につながります。

また、リース料は毎月の経費として計上できるため、利益を圧縮し税負担を軽減する効果も期待できます。特に運送業のように大型トラックを多く保有する企業にとって、資産の流動化やコスト管理の平準化が図れる点は大きなメリットです。

ただし、リース契約内容によっては維持管理コストが自社負担となる場合もあるため、契約条件の確認が重要です。

まとめ

大型トラックのサイズを正しく理解することは、用途に合った車種選びやコスト管理に不可欠です。

全長や全幅、最大積載量、車両総重量などの基準を把握することで、自社に適した車体の選定がスムーズになります。

また、運送業においては中型自動車免許の要否や燃費、荷物の積載効率も重要な判断材料です。

業務内容に応じた車体を選び、効率的な輸送を目指しましょう。

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