チャータートラックとは？仕組み・料金・メリット・デメリットを徹底解説！
「チャータートラックの利用を検討しているが、メリットやデメリットがわからない」
「料金体系や選び方が複雑で悩んでいる」
このようなお悩みはありませんか？
チャータートラックは、専用トラックを利用することで、時間指定の柔軟性や効率的な荷物管理が可能な輸送方法です。緊急輸送への即時対応や荷物の品質維持にも優れています。
この記事では、チャータートラックの基本的な仕組みや特徴、メリット・デメリット、ルート配送との違い、料金体系、選択時の注意点について詳しく解説します。自社に最適なチャータートラックの選び方や、コスト削減のポイントを知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
1 チャータートラックとは
チャータートラックとは、特定の荷主が輸送目的に応じてトラック全体を貸し切る配送サービスです。通常のルート配送とは異なり、荷主の要望に合わせて柔軟な輸送が可能です。大量の貨物や特殊な形状の荷物、時間指定が厳しい配送などに適しており、効率的な物流手段として注目されています。
1-1 チャータートラックの基本的な仕組みと特徴
チャータートラックとは、特定の荷主が1台のトラックを貸し切って輸送を行う方式のことです。この仕組みにより、荷主は出発地から目的地までの輸送を、他の荷物と混載することなくスムーズに行えます。
契約の種類は、主にスポット契約（単発の契約）と定期契約があり、またトラックの種類も輸送する荷物に応じて選べます。
チャータートラックの特徴は以下のとおりです。
- 時間指定の柔軟性：荷主のスケジュールに応じて、出発時間や到着時間を調整できる
- 積み合わせなし：他社の荷物と混載しないため、荷物の管理が容易
- 即時対応が可能：緊急配送や突発的な輸送ニーズにも柔軟に対応できる
- 荷物の品質維持：温度管理が必要な荷物や、破損しやすい貨物も安全に輸送できる
2 チャータートラックのメリット
チャータートラックには、輸送の柔軟性や効率性を高める多くのメリットがあります。主なメリットは、時間指定の自由度や荷物管理の効率化、緊急対応力、品質維持、労働時間の削減などです。これらのメリットについて、詳しく説明します。
2-1 専用トラックによる時間指定の柔軟性
チャータートラックの大きなメリットは、時間指定の自由度が高い点です。
ルート配送ではスケジュールが固定されますが、チャータートラックなら荷主の希望時間に合わせた柔軟な配送ができます。
例えば、工場や倉庫の稼働時間に合わせた納品や、小売店の開店前・閉店後の配送にも対応可能です。そのため、荷受け側の業務効率が向上し、物流管理がスムーズになります。
また、繁忙時間帯を避けた配送計画が立てられるため、交通渋滞による遅延リスクも軽減できます。
2-2 積み合わせなしの効率的な荷物管理
チャータートラックは自社荷物専用のため、積み合わせが発生せず、積載方法の自由度が高いのが特徴です。パレット単位での効率的な荷積みが可能であり、荷物の大きさや形状に応じた最適なスペース活用ができます。そのため、輸送効率の向上とともに、荷物の破損リスクを軽減することが可能です。
また、在庫移動や商品管理の面でもメリットがあります。荷主専用の輸送となるため、積み降ろしの回数が最小限に抑えられ、誤配送のリスクも軽減されます。さらに、在庫移動がスムーズに行えることで、倉庫管理の効率化にもつながるのです。
2-3 緊急輸送への即時対応
チャータートラックは、緊急輸送の際に迅速な対応が可能です。一般的な混載便では、他の荷主の荷物と一緒に配送スケジュールが決められるため、急な依頼には対応しにくい場合もあります。
一方、チャータートラックは特定の荷主専用のため、輸送スケジュールを柔軟に調整でき、即時の集荷や配送が可能になります。例えば、製造業における急な部品供給や、小売業における在庫不足への対応など、ビジネスを滞りなく続けるために有効です。
2-4 荷物の品質維持と破損リスク低減
チャータートラックは、荷物の品質維持と破損リスクを抑えたい場合に最適な手段です。
積載方法の自由度が高く、商品を直行輸送するため、破損リスクを最小限に抑えられます。精密機械や芸術品などの繊細な商品も、適切な緩衝材や固定用ベルトを使用することで安全に輸送できます。
さらに、冷蔵・冷凍など温度管理が必要な食品も、専用のコンテナトラックを選択することで品質を維持したまま配送が可能です。
2-5 労働時間の大幅な削減効果
チャータートラックを利用することで、労働時間を大幅に削減できます。特に、他社トラックとの荷待ち時間がなくなるため、効率的な運行が可能です。例えば、混載便では積み込みや仕分け作業の関係で、1〜2時間の待機時間が発生することが一般的ですが、チャータートラックならこうした待機時間をなくせます。
また、1運行あたりの総所要時間も短縮されます。混載便の場合、複数の荷主の荷物を配送するため、経由地が増え、配送時間が長くなります。一方、チャータートラックは直行便として機能するため、1運行あたりの総所要時間が2時間ほど短縮されるケースもあります。
2-6 ドライバーの負担軽減
チャータートラックは、ドライバーの負担軽減にもメリットがあります。労働時間の適正管理により、月間労働時間や残業時間の削減が可能です。また、適切な休憩時間の確保や年次有給休暇の取得促進を通じて、ドライバーの健康維持が図れます。
さらに、効率的な運行計画により拘束時間を短縮し、休息時間を十分に確保することで、安全性と作業効率が向上します。
ドライバーの負担軽減は、離職率低下にも有効です。働きやすい環境を提供することで、優秀な人材の確保と定着を促進し、安定した輸送体制を構築できます。
3 チャータートラックのデメリット
チャータートラックは多くのメリットを持つ一方で、いくつかのデメリットもあります。特にコストや車両確保の課題が挙げられ、利用の際には慎重な検討が必要です。以下に、主なデメリットについて詳しく説明します。
3-1 トラック1台あたりの料金考慮
チャータートラックを利用する際の大きな課題の一つは、トラック1台あたりの料金が比較的高額になることです。混載便と異なり、1台のトラックを貸し切るため、輸送コストが割高になります。特に、長距離輸送や高速道路を利用する場合は、さらにコストが増加する傾向にあります。
また、利用するトラックの種類によって料金が変動する点も考慮が必要です。例えば、大型トラックと小型トラックでは料金が大きく異なります。
そのため、チャータートラックを利用する際は、荷物の量と料金のバランスを考慮することが大切です。
3-2 適切な車両確保のリスク
チャータートラックを利用する際の課題は、適切な車両を確保することです。
特に、荷物の量や性質に適した車両を確保できない場合、輸送の遅延やコスト増加につながる可能性があります。
以下に具体例を示します。
- 荷物量に最適な車両サイズ（2t、4t、10tなど）が見つからない
- パワーゲート、冷凍・冷蔵車、ウイング車などの特殊装備が必要な場合
- 荷物の積載条件に合わせた車両の仕様変更が必要な場合
- 複数台の車両を同時に確保したい場合
- 定期利用のための専属車両やドライバーの確保
- 車両の整備・点検時の代替車両の手配
これらの状況では、希望通りの車両を手配できないことがあるため、事前に運送会社と十分な相談が必要です。
3-3 季節性による車両需要の変動
チャータートラックの利用には、季節的な需要変動が大きな課題となります。特に、年末年始（11月下旬〜12月）や中元期（6月中旬〜7月）、歳暮期（11月〜12月）には贈答品や大量の荷物輸送が集中します。
また、年度末・年度始め（3月〜4月）の引越しや移転需要、夏季（7月〜8月）の飲料輸送需要が増加するため、車両確保が困難になる場合があります。このような時期には早めの予約と計画的な手配が重要です。
3-4 帰り便の効率化問題
チャータートラックを利用する際、帰り便の空車問題が大きな課題です。特に、納品先からの帰路で積載する荷物がない場合、トラックが空車のまま戻ることになり、運行の効率が低下します。
帰り便が空車の場合でも、片道分の固定費（人件費・燃料費など）が発生するため、実質的な運行コストが上昇するのです。そのため、輸送コスト全体が高くなり、荷主の負担も増加する可能性があります。また、車両の稼働率が低下することで、運送会社にとっても利益率の低下につながります。
4 ルート配送(混載便)との違い
主な配送方法には、チャータートラックの他に、ルート配送（混載便）があります。それぞれに異なる特徴があるため、荷物の種類や用途に合わせて選ぶのがおすすめです。ここでは、両者の違いについて詳しく解説します。
4-1 配送形態の基本的な違い
チャータートラックと混載便（ルート配送）の主な違いは、荷物の配送形態です。チャータートラックは1台のトラックを貸し切り、荷主の荷物のみを積載して直接目的地へ配送します。一方、混載便は複数の荷主の荷物を1台のトラックに積み合わせ、効率的なルートで配送を行います。
混載便の配送手順は以下のとおりです。
- 近隣エリアの荷物を集荷
- 集めた荷物を拠点に集約
- 拠点での仕分けと積み込み作業
- 同一トラックで目的地近くの拠点まで輸送
- 到着拠点での各配送先ごとの仕分け
- 最終的な配達先への個別配送
この方式により、複数の荷物を効率的に運ぶことができますが、個別の時間指定や特殊な条件への対応が難しくなる場合があります。
4-2 料金形態の違い
チャータートラックと混載便では、料金形態にも違いがあります。チャータートラックは1台を貸し切るため、トラックのサイズや走行距離、拘束時間によって料金が決まります。一方、混載便は複数の荷主がコストを共有するため、荷物の重量や容積に応じて料金が設定されるのが一般的です。
荷物の重量については、「実重量」と「容積重量」を比較し、より大きい方が採用されます。実重量は荷物の実際の重さを指し、容積重量は荷物の寸法（幅×奥行き×高さ）から算出される仮想的な重量を意味します。
4-3 適している荷物の特徴の違い
チャータートラックは、混載便では対応が難しい特殊な荷物の輸送に適しています。例えば、割れ物や精密機械、においが強い商品、大型や長尺の荷物などが含まれます。また、冷蔵・冷凍品や危険物など、特別な管理が必要な荷物も安全に運ぶことが可能です。
一方、混載便は小口配送や標準的な荷物に適しており、コスト効率を重視する場合に選ばれることが多いです。
5 チャータートラックの料金体系
チャータートラックの料金は、いくつかの要素で構成されています。基本料金に加え、走行距離や時間、車両の種類、オプションサービスなどによって料金が変動します。
ここでは、チャータートラックの料金体系について詳しく見てみましょう。
5-1 基本料金の構成
チャータートラックの基本料金は、主に以下の要素で構成されています。
- 車両費用：トラックの種類やサイズ（軽トラック、2t車、4t車、10t車など）に応じて料金が設定される
- 走行距離：配送の総走行距離に基づいて料金が加算される
- 作業時間：積み込みや積み下ろしに要する時間、待機時間などが考慮される
- 人件費：ドライバーの労働時間や必要な人員数に応じて変動する
- 高速道路料金や燃料費：実際の経費として別途請求される場合がある
これらの要素を総合的に考慮して、最終的な料金が決定されます。
また、繁忙期や時間帯によっては、基本料金が割増になる場合もあります。
5-2 距離別料金の目安
チャータートラックの料金は、走行距離に応じて変動します。一般的に、走行距離が長くなるほど料金は高くなります。
具体的な料金の目安は、トラックのサイズや運送会社によって異なりますが、以下のような傾向があります。
- 短距離（50km以内）: 15,000円～30,000円程度
- 中距離（100km～200km）: 40,000円～80,000円程度
- 長距離（300km以上）: 80,000円～200,000円程度
また、高速道路料金や燃料サーチャージなどが別途発生する場合もあります。複数の運送会社から見積もりを取り、料金を比較検討することが重要です。
5-3 追加料金が発生するケース
チャータートラックの料金は、基本料金や距離別料金に加えて、さまざまな要因で追加料金が発生する場合があります。
主な例は、基本拘束時間を超過した場合や、運行距離が基本距離を超えた場合です。また、土日祝日の利用や早朝・夜間の配送にも追加料金が適用されることがあります。特殊な車両（冷蔵車や冷凍車など）を利用する場合も、基本料金に対して20%程度の追加料金が発生します。
これらの追加料金は、運送会社によって異なる場合があるため、事前に確認することが重要です。
5-4 コスト削減のポイント
チャータートラックの料金は、工夫次第でコストを削減できます。
以下のポイントを意識することで、チャータートラックの利用料金を抑えることが可能です。
- 複数社から見積もりを取る：複数の運送会社に見積もりを依頼し、料金を比較検討する
- 早期予約による割引を活用する： 早めの予約により、割引を受けられる／また繁忙期を避けることで料金を抑えられる場合がある
- 帰り便を活用する：配送先から帰ってくるトラックの空きスペースを利用し、他の荷物を輸送することで、片道分のコストが無駄にならない
- 定期便を活用する：長期利用の契約を結ぶことで、料金を抑えられ、予約の手間が省けるだけでなく、安定的な輸送体制を確保できる
6 チャータートラックを導入すべきシーン
ここではチャータートラックを導入すべきシーンについて解説します。
6-1 大量・大型貨物の一括輸送
チャータートラックは、大量の貨物や大型の貨物をまとめて輸送する際に有効な手段です。
通常の路線便では、荷物のサイズや重量に制限があり、複数の便に分けて輸送する必要がある場合があります。しかし、チャータートラックであれば、1台のトラックにまとめて積み込むことができるため、輸送コストを大幅に削減できます。
例えば、工場から倉庫への製品輸送や、イベント会場への機材搬入など、一度に大量の荷物を運ぶ必要がある場合に最適です。
また、積み替え作業が不要なため、荷物の破損リスクを軽減できるメリットもあります。
6-2 特殊な管理が必要な配送
チャータートラックは、温度管理や振動対策など、特殊な管理が必要な荷物の配送にも適しています。
例えば、精密機器や医薬品、生鮮食品など、温度や湿度、衝撃に弱い荷物を輸送する場合、温度管理機能付きのトラックや、振動を抑える特殊な車両を手配できます。
また、美術品や貴重品など、セキュリティ面で特別な配慮が必要な荷物の輸送にも、チャータートラックは有効です。専門のスタッフが付き添い、厳重なセキュリティ体制のもとで輸送を行えます。
7 チャータートラック選択時の注意点
チャータートラックを利用する際には、料金や契約内容、配送条件などに注意が必要です。適切な運送会社を選ばなければ、予期せぬトラブルやコスト増加につながる可能性があります。以下では、契約時の確認事項やトラブル防止策について解説します。
7-1 利用前や契約時の確認事項
チャータートラックを利用する際には、事前の確認が必要不可欠です。契約前に運送条件や料金体系などを理解しておくことで、後々のトラブルを防げます。特に、追加料金が発生する条件や、運送の遅延に関する規約は注意深く確認しましょう。
また、信頼できる運送業者を選ぶことも重要です。過去の実績や評判をチェックし、適切な許認可や保険を持っているかを確認してください。さらに、輸送する貨物の特性（大きさ、形状、重量、取り扱い注意点など）を事前に伝え、適切な輸送機器や方法を選定することも大切です。
7-2 料金トラブルの防止策
チャータートラックの利用において、料金に関するトラブルは少なくありません。料金トラブルを防ぐためには、以下の点を徹底しましょう。
- 見積もり条件の明確な提示：待機時間や付帯作業（荷物の積み下ろしなど）の有無を見積もり時に明確に伝える。
- 追加料金が発生する条件の事前説明：高速道路料金や時間外料金など、追加料金が発生する条件を事前に確認する
- 支払条件の明確化：支払い方法や支払い期限を明確にする
- キャンセル規定の説明: キャンセルした場合の料金や条件を事前に確認しておく
7-3 配送トラブルの防止策
配送遅延や荷物の破損といった配送トラブルは、ビジネスに大きな影響を与えます。
配送トラブルを未然に防ぐために、以下の対策を講じましょう。
- 配送時間の余裕を持った設定：道路状況や天候などを考慮し、余裕を持った配送時間を設定する
- 道路状況・規制の事前確認：事前に道路状況や交通規制を確認し、最適な配送ルートを選定する
- 搬入・搬出経路の確認：搬入・搬出経路の幅や高さ制限、駐車スペースなどを事前に確認する
- 緊急時の連絡体制の確立：運送業者との連絡体制を確立し、緊急時に迅速に対応できるようにする
8 まとめ
本記事では、チャータートラックの基本的な仕組みから、メリット・デメリット、料金体系、導入シーン、選択時の注意点まで詳しく解説してきました。
チャータートラックは、専用車両による時間指定の柔軟性や、積み合わせなしの効率的な荷物管理など、多くのメリットがあります。一方で、1台あたりの料金や車両確保のリスクなど、検討すべき課題もあります。
導入を検討する際は、自社の物流ニーズを明確にし、料金体系や契約条件を慎重に確認することが重要です。また、トラブル防止のため、事前の確認事項や防止策についても十分な注意を払いましょう。適切な活用により、物流効率の向上とコスト最適化を実現できます。
