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【中小企業向け】大型トラック導入の費用・維持費・資金調達まで徹底解説

大型トラックの価格は経営を左右する重要な要素となっています。車両の導入や入れ替えを検討している運送業者や建設業者にとって、コストは大きな課題です。この記事では、大型トラックの価格相場から維持費、さらには導入時の課題と軽減策について解説します。

大型トラックの値段相場(新車・中古車)

大型トラックの導入には、新車と中古車という選択肢があります。それぞれの価格帯と特徴を理解し、自社のニーズに合った車両を見つけることが大切です。

新車の価格帯とモデル別目安

新車の大型トラックは、車種や架装内容によって価格が大きく変動します。例えば、三菱ふそうのスーパーグレートや、日野のプロフィア、いすゞのギガ、UDトラックスのクオンといった主要トラックメーカーの車種は、一般的に2,000万円から2,600万円程度の価格帯で販売されています。

さらに特殊な架装が必要な車両、例えばクレーン付きのユニック車や、高機能な冷蔵車、ダンプ、ミキサー車、塵芥車、タンク車、キャリアカー、アームロールなどは、架装費用が加算されるため、3,000万円を超えるケースもあります。

トレーラーやセミトレーラーなども、けん引する車両と合わせて高額になる傾向です。最新の2024年、2025年モデルでは、燃費性能の向上や安全装備の充実により、さらに価格が上昇する可能性もあります。

中古大型トラックの相場と選び方

中古車の大型トラックは、新車に比べて導入費用を抑えられるメリットがあります。

年式、走行距離、車種、架装内容によって価格は大きく異なりますが、一般的には150万円から2,500万円程度で取引されています。また、走行距離が少なく年式の新しい車両、人気のウイングボディや平ボディなどは比較的高値がつく他、積載量や車両総重量も価格に影響します。

中古車を選ぶ際には、車両の状態を十分に確認することが大切です。

車検の残り期間や定期的な整備履歴、事故歴の有無などをチェックしましょう。信頼できる販売店を選ぶことも重要であり、購入後の保証やアフターサービスが充実しているかどうかも確認すべきポイントといえます。

トラックの値段に影響する主な要素

大型トラックの価格は、さまざまな要素によって決定されます。ここでは、大型トラックの値段に影響を与える重要な要素について、詳しく解説します。

エンジン・排ガス規制の違い

大型トラックのエンジン性能は、馬力(継続的な力)やトルク(瞬発力)で決まり、これらはターボチャージャーやインタークーラーの技術で向上します。

また、近年は三菱ふそうのスーパーグレートなどで見られるように、エンジンのダウンサイジング化が進み、燃費効率も高まっています。ただし、高性能なエンジンほど燃費効率が良くなりますが、価格は高くなる傾向があるため、購入後のランニングコストも考慮して購入を検討する必要があるでしょう。

一方、排ガス規制は環境保護のために年々厳しくなっています。平成22年排ガス規制(ポスト新長期規制)に続き、平成28年排ガス規制では、NOxの規制値を、さらに約43%低減させる厳しい基準が設けられました。

これに対応するため、尿素SCRシステムやDPFシステムといった高価な排ガス後処理装置の搭載が必須となり、車両価格を上昇させる主な要因となっています。しかし、規制適合車は補助金・助成金の対象となることが多く、初期投資の負担を軽減できる場合があります。

結局、高性能エンジンや最新の排ガス規制適合車は高価ですが、長期的な燃費や環境性能、補助金活用を考えると、結果的にメリットが大きいケースもあります。

車両サイズと架装内容

同じ「大型トラック」でも、積載10t〜13tクラスでは車体サイズが異なり、価格も数百万円単位で変わることがあります。ホイールベースが長くなるほどシャーシの強度やブレーキ性能が求められるため、価格が上昇する傾向です。

トラックは用途に応じて架装(ボディ加工)が必要であり、この架装内容によって価格に大きな幅が出ます。代表的な架装費用の目安は、ウイングボディが+100万円〜200万円(荷台が箱型で側面が翼のように開閉するタイプ)、冷凍機付き車両が+150万円〜300万円、クレーン付き(ユニック車)が+200万円前後(タダノなどのメーカー製クレーンが架装されます)となっています。

この他にも、ダンプ、ミキサー車、ローダー、アームロール、塵芥車など、架装の種類は多岐にわたります。架装メーカーによって価格が変わる他、後付けか新車時施工かによっても変動しますので、導入時には具体的な見積もりを取ることが重要です。

オプション・カスタマイズ仕様

近年の大型トラックには、安全運転支援システムやドライバーの負担を軽減するオプション装備が充実しています。

例えば、衝突被害軽減ブレーキ(PCS)やドライバーモニター、バックモニター、デジタコなど、運輸業の安全基準強化により追加装備が標準化されつつあります。これにより、ベース価格に比べて30万円〜100万円程度のコスト増になる場合もあるでしょう。

快適装備や先進機能の追加も価格を押し上げる要因となりますが、長期的な視点で見れば、安全性の向上やドライバーの働きやすさにつながるため、導入を検討する価値は十分にあるといえます。

トラック導入時に中小企業が直面する課題

中小企業にとって、事業拡大や業務効率化のために大型トラックの導入は不可欠ですが、車両の選定から購入後の運用まで、さまざまな課題に直面することがあります。

特に、初期費用の捻出や複雑な維持費、そして経理処理は、経営に大きな影響を与える可能性があります。ここでは、中小企業が大型トラック導入時に考慮すべき主な課題について詳しく見ていきましょう。

購入・ローン・リースの比較

大型トラックを導入する方法は、主に購入、ローン、リースの3つです。

新規創業や資金が潤沢でない会社にとっては、初期費用を抑えられるリースが有効な選択肢となり得ます。リースは毎月定額を支払う形式なので、資金計画が立てやすい点がメリットです。

一方、長期使用を前提とする建設業者などは、最終的に車両が自社の資産となる購入やローンを選択することが多いでしょう。ローンは金利が発生しますが、自社の資産として減価償却できるメリットがあります。また、ローンの金利は、経費にすることが可能です。

決算対策や節税をしたいという場合は、リースで費用化できる利点があります。リース料は全額経費として計上できるため、税務上のメリットを享受できる可能性があります。ただし、リースは総支払額が購入より高くなる場合があるため、長期的なコスト比較も重要です。

それぞれのメリット・デメリットを比較検討し、自社の経営状況に最も適した方法を選びましょう。

車両維持費(車検・保険・整備)の負担

大型トラックの導入は高額な初期費用だけでなく、その後の維持費も大きな負担となります。主な維持費としては、以下のものが挙げられます。

・車検費用:車検には検査費用だけでなく、部品交換や整備費用も発生します。
・自動車保険料:任意保険は加入が必須であり、車両の車種や補償内容によって保険料は変動します。
・定期整備・修理費用:日常点検に加え、定期的な点検整備や消耗品の交換、故障時の修理費用も考慮する必要があります。特に走行距離が長くなると、それだけメンテナンスの頻度も高まります。
・税金:自動車税や重量税など、車両の維持にはさまざまな税金がかかります。

これらの維持費を事前に把握し、経営計画に組み込むことが大切です。

経理処理・減価償却・資産管理の注意点

大型トラックなどの高額な固定資産を保有する際には、複雑な経理処理や減価償却のルールを理解しておく必要があります。

まず大型トラックは、固定資産として計上することが原則です。この際、車両本体価格だけでなく、車検登録費、名義変更費、架装費などの諸費用も原則として取得価格に含めて資産計上します。勘定科目は「車両運搬具」を使用するのが一般的で、取得時には全額を資産として貸借対照表に計上することになります。

また、大型トラックの法定耐用年数は用途により4〜6年に設定されており、普通トラックは6年、特種用途車両はより短くなる場合があります。この耐用年数に基づいて毎年一定額を減価償却費として経費計上することで、購入時に一括で費用処理するよりも車両費用等を年度ごとに分散することが可能です。

減価償却方法には「定率法」と「定額法」があり、定率法は初年度の償却額が大きく、定額法は毎年均等に償却する方法で、法人は原則として有利な方法を選択できます。

車両台数が増加すると、車両台帳の管理、残存簿価の把握、償却累計額の管理が煩雑になりがちです。さらに売却時には、帳簿価格と実際の売却価格との差額を、固定資産売却損益として計上し、車両入れ替え時は、旧車両の除却処理と新車両の資産登録を、同時に行う必要があります。

これらの処理は専門的な知識を要するため、税理士や会計士などの専門家に相談することをおすすめします。

大型トラック導入の負担を軽減する方法


大型トラックの導入は高額な費用がかかりますが、その負担を軽減するためのいくつかの方法があります。ここでは、トラックリースバックと補助金・助成金制度の活用、再生中古トラックの導入の3つを紹介します。

トラックリースバック

トラックリースバックとは、現在所有している車両を専門業者に売却し、売却後はその車両をリース契約で借り受ける仕組みです。

車両を手放さずに資金化できる仕組み

トラックリースバックの最大のメリットは、車両を手放すことなくまとまった資金を得られる点にあります。一時的に資金が必要な場合でも、事業を継続しながら資金調達が可能です。

売却によって得た資金は、運転資金や設備投資、あるいは新たな車両の購入費用に充てることもできます。ただし、リース料の支払いが必要になる点には注意が必要です。

一般的にリースは、税金や自賠責保険料がリース料に含まれます。さらに、メンテナンス込みの契約を選択すれば、車検費用、法定点検費用、一般的な故障修理費、消耗品交換費までリース料に含めることが可能です。

これにより、燃料費以外のほとんどの維持費が月額定額となり、経費の予測が容易になって資金計画を立てやすくなります。

また、購入時は車両を資産計上し減価償却する必要がありましたが、リース契約ではリース料として一括経費計上できるため、経理処理が大幅に簡素化されます。各種税金や車検費用を個別に管理する手間が省ける点もメリットといえるでしょう。

トラックリースバックは、資金繰りに悩む中小企業にとっては、即座にキャッシュフローを改善しながら事業を継続できる有効な資金調達手段の一つとなり得ます。

補助金・助成金制度の活用

大型トラックの導入にあたっては、国や地方自治体が実施している補助金や助成金制度を活用できる場合があります。これらの制度は、環境性能の高い車両の導入や、安全装備の強化、あるいは特定の事業分野における投資などを支援することを目的としています。

例えば、エコカー補助金や、排ガス規制に適合した車両への補助金、または運送業の安全対策を推進するための助成金などがあります。これらの制度は、年度によって内容が変更されたり、募集期間が限られたりすることがあるため、最新の情報を常にチェックすることが大切です。

再生中古トラックの導入

再生中古トラックは、中古のトラックを整備・修理し、新車に近い状態にまで再生させた車両をさします。再生中古トラックは、初期投資を大幅に抑えつつ、すぐに稼働させたい場合に非常に有効です。

納期が早く、即稼働できる

新車のトラックは、車種や架装内容によっては納車まで数ヶ月から1年待ちということも珍しくありません。

しかし、再生中古トラックであれば、すでに在庫としてある車両の中から選べるため、多くの場合、契約後すぐに稼働開始できます。

車検付きや架装済みの車両も多く、急な車両の補充や事業拡大に対応しやすい点がメリットといえます。

導入コストを大幅に抑えられる

再生中古トラックは、新車価格の40%〜60%程度の予算で導入できることが多く、導入コストを大幅に抑えられます。

例えば、新車で1,800万円の大型トラックが、再生中古車であれば700万円〜1,100万円程度に抑制できることになります。

これにより、初期投資の負担を軽減し、手元の資金を有効活用できます。また、導入コストが低い分、減価償却負担も軽くなるうえ、資産管理の簡略化にもつながるでしょう。

まとめ

大型トラックの導入は、運送業や建設業を営む中小企業の皆様にとって、事業の根幹を支える重要な投資です。

新車と中古車の価格相場、エンジン性能、架装内容、オプションといった価格に影響する要素を理解し、購入・ローン・リースといった導入方法の比較検討、そしてトラックリースバックや補助金制度の活用、再生中古トラックの導入といった負担軽減策を検討することで、最適な車両選びを進め、事業の安定を図りましょう。

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